コラム 星降る夜の鑑定士 〜企業評価と事業再生〜

不動産の価格ってなんでしょう?

その不動産を作るのにいくらかかったって?・・・はい、それも一つの考え方です。

でも、不動産の「価値の本質」は、その不動産を利用することにより、どれだけの収益が生み出されるかということですよね。

では、不動産の「価値の本質」に迫る不動産評価とは何か。それは、この異国の地の物語が、おしえてくれます。

1st Night ホテル価値の本質

登場人物紹介

マリオ:
酒と音楽をこよなく愛するバーテンダー。趣味はトランペット。最近は、企業経営にも興味を持っている。
ジャック:
酒と女性をこよなく愛する不動産鑑定士。本人は気づいていないが、流れ星が降る日には必ずマリオのバーにやってくる。

ここは、南の島のリゾートホテル。スカイラウンジのバーテンダー、マリオがシェイカーを振っています。今夜も降るような星空。

あっ、流れ星だ!

ということは、きっと、常連のお客さんが来るはずです。今夜はどんなお話を聞けるのでしょうか。

マリオ:
いらっしゃいませ。

カウンターには、お気に入りのお酒が用意されています。

ジャック:
マリオ、超能力者にでもなったのかい?。
マリオ:
さっき、南の空に流れ星が流れたので、もうじきお見えになるだろうと思いまして・・・。
ジャックさんは不動産鑑定士でしたね。
そういえば、このまえ向かいのホテルの鑑定評価をしたという鑑定士さんがいらっしゃいましたが・・・、きっと、ものすごい評価額になるんでしょうね。・・・確か、床は大理石ですし、シャンデリアはフランス製らしいですから。
ジャック:
でも、今日は土曜日なのに、ほら(と言って窓の外に見えるホテルを指さして)、客室の明かりが、あんなに少ない。それに最近、シェフが変わって料理の味が落ちたっていう評判だし、なにより、あのホテルのバーテンダーは最悪だ。それほどでもないだろう。
マリオ:
(眉に唾を塗りながら)へえ、お客さんの数とか料理の味で鑑定評価額が変わるんですか?
ジャック:
はは~ん。君は「ホテルの鑑定評価額=土地価格+建物価格」って考えているね。

原価法

価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法である。

積算価格=土地再調達原価 + 建物再調達原価  -  減価修正額
        (土地価格)   (新品の建物価格)   (新品と比較しての価値の下落額)

マリオ:
そうでしょ。このへんは地価も上がっているみたいですし・・・。
ジャック:
もちろん、それも一つの考え方だ。でも、ホテルの価値の本質は、ホテル経営によってどれだけの利益があげられるか・・・じゃないかな。
マリオ:
稼いでナンボっていうことですか。
ジャック:
そう。不動産の鑑定評価では、これを「収益価格」っていうんだよ。収益獲得を目的とする不動産については、この収益価格を重視して鑑定評価額を決めることになる。

収益還元法

対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法である。

<直接還元法>
 収益価格=純収益÷還元利回り

マリオ:
同じコストをかけたホテルでも、ホテルの収益性によって鑑定評価額には大きな差がでるということですね。
ジャック:
そのとおり。でも、ホテルは、土地建物という「箱」だけでは収益を生み出すことはできない。
マリオ:
確かに・・・、バーにはバーテンダーがいないとね。
人材イメージ
ジャック:
そう、そこがホテルのような事業用不動産の鑑定評価が難しい理由だ。ホテルは、人、物、金、情報、社風という経営資源が有機的に結合して「ホテル価値」を形成している。
物、金、情報のイメージ
マリオ:
ということは・・・。
社風
ジャック:
つまり、あらゆる経営資源の有機的結合体としてのホテル(企業)を評価する必要があるということさ。
マリオ:
だんだん難しくなってきました・・・。もう一杯、おつくりしましょうか?
ジャック:
そうだな・・・、最後に12年もののマッカランをもらおうか。

夜も更けてきました。この続きは、また次の星の降る夜に・・・。

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